最近オーディオ関連にハマっています。
Amazonでパワーアンプを買ったり、真空管プリアンプのキットを組んでみたり……。
でもですね、やっぱり 「もっといい音が欲しい!」 ってなるんですよ。
ただし世の中の高級アンプは、どれも高い!
「だったら自分で作れば安く済むんじゃね?」という安直な発想から、今回は 自作パワーアンプ に挑戦しました。
この安直な発想から設計していくのですが、自作だと1つ1つのパーツをこだわる(高級品)にすることができるので、いい音を追い求めて結局そこそこかかってしまいました。
今回は音がいいと評判のlm-3886を用いて制作しました。
びっくりするのがこのIC 1つ2000円するんですよね。2chなのでicだけで4000円とほほ…
lm3886とは
LM3886 は、アメリカのNational Semiconductor(現 Texas Instruments)が開発したオーディオ用パワーアンプICです。
オーディオ自作の世界では超有名で、「ゲインカード」と呼ばれる高音質アンプに採用され、一気に名前が広まりました。
- ICだけで スピーカーを直接鳴らせる(数十ワット級の出力が可能)
- 音がクリアでHi-Fi → 普通のICアンプより音楽的に聴きやすい
- 壊れにくい(温度や電流の保護回路が内蔵されてる)
- 部品点数が少なくても高音質アンプが作れる
スペック
- 最大出力:68W(±28V、4Ω負荷)
- THD+N(全高調波歪+雑音):0.03%以下(20Hz~20kHz, 60W出力時)
- スルーレート:約19V/µs → 高域特性が良く、音がシャープになりにくい
- S/N比:約92dB
- 内部にオーバーカレント保護、サーマルシャットダウンを内蔵
- 出力段はクラスAB、ハイパワーでもリニアに動作
要するに、ICなのに「ディスクリートの高級アンプに近い音」が出る のがLM3886の魅力。
だからオーディオマニアにもいまだに人気で、完成品アンプも数万円~数十万円で売られていたりします。
完成品(lm3886 パワーアンプ)


じゃーん!完成したのがこちらのLM3886アンプです。
電気の基礎知識はそこそこあるんですが、回路設計からケースに収めるまで一通りやるのは初めて。
ハンダ付けミスや部品の配置で頭を抱えつつ、なんとか形になりました。
今回ケースをミスってしまって、天板に基盤をのせて上下逆さまに使うことになりました。
耐久性が不安だったのでビスを増やして何とかです。
回路図
ソフトを使用するのが面倒だったので手書きで回路図を書きました。
設計当初はもう少し簡単な回路だったのですが、色々あって少し複雑に…
lm-3886 アンプ部分

電源以外のコンデンサは基本的にフィルムを使用。
発振防止の工夫は以下の通りです↓
- ピン9と10を100pFで接続
- 入力プルダウン抵抗 & 入力抵抗を設置
- 出力にZobelフィルタ(10Ω+0.1µF直列をGNDへ)
- 出力に1µH+10Ω並列のスナバも追加
こういう地味な対策が安定動作のカギですね。
電源回路

LM3886は本来±20V以上が望ましいんですが、購入したトランスがAC15Vだったので、±19V運用に。
まぁ最大5W程度の出力で十分なので、許容範囲としました。
購入した段階では15vでもいける算段でした。
センタータップ付きトランスを使い、ブリッジ整流 → CLCで平滑 → レギュレータで安定化 → CLCでノイズ除去、という流れです。
最終的には基板上の2200µFコンデンサにつながっています。
※ちなみにレギュレータの保護ダイオードを描き忘れてます。
実はこの回路、ちょっと問題があります。
整流ダイオードの直後に大容量コンデンサを置いちゃってるので、電源投入時に突入電流でダイオードが即死する可能性アリです。
一応、耐圧100Vのダイオードを使ったので「まぁ大丈夫でしょ」と楽観してますが、真似する人は対策を入れてください。
(※このへんは完全に“自己責任DIY精神”ですw)
音出し
実際に音を出してみると、以前Amazonで購入したパワーアンプよりも 格段にクリアで音の輪郭がハッキリ していました。スピーカーはonkyoのスピーカーを使っています。
音量を上げても、音が荒くなることはないし、高域もかなりきれいに聞こえました。私的にはかなり満足しています。
今回の自作アンプでは、特に 無入力時のノイズ対策 に力を入れました。
具体的には電源回路をトライアンドエラーを何度も繰り返しやフィルタ回路を工夫して 電源由来の雑音を極力抑える ようにしています。
おかげで、何も鳴らしていない状態でもジーッという微小なノイズがほとんど聞こえません。
これが音質にどれくらい影響するかは分かりませんがかなり満足してます。
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