
先日レビューした中華製パワーアンプとONKYOのスピーカーを鳴らしていたのですが、パワーアンプだけだと少し音に硬さや無機質さを感じていて高域をもっときれいに自然な感じにしたいなといろいろ調べていました。
そこで、真空管プリアンプというものを発見しました!
プリアンプとは、音源から出る小さくて繊細な音声信号を、スピーカーを駆動するためのパワーアンプに渡す前に、適切なレベルまで増幅・整える役割をもつ機器です。
信号を増幅する過程で音質に変化を加えることがあり、特に真空管タイプのものは、音が柔らかくなったり温かみが加わったりするといわれています。
しかし、ものにもよりますが真空管アンプめっちゃ高いんですよね…
回路自体はそれほど難しくないみたいなので自作を考えていると、amazonで自作キットを発見しました。
オーディオ関連の知識はあまりありませんが、手頃な価格で購入できるので試して見ることに。
6J1真空管プリアンプキットを購入

2000円程度で購入できるキットがあったので試しに買ってみることに…
6j1真空管2本と基盤やコンデンサ類一式が入っていました。カップリングコンデンサはフィルムコンデンサではなくセラミックコンデンサ。また、電解コンデンサも一般的なものでオーディオグレードではありません。安いので仕方ないですね。
キットといってもケースはついていません。自分で作る必要がありそうです
組み立て
組み立てはそんなに難しくありません。基盤に場所が書いてあるのでそこにはんだ付けするだけです。
注意点としたら、電解コンデンサの極性と、抵抗値を読み取ることです。抵抗は金属皮膜抵抗抵抗が用いられているので大体5バンドタイプです。
ここで問題なのですが、この回路の電源AC12V入力なんですよね….
当然、AC12v出力のアダプタなんて持っていません。
買おうにもぼちぼちな価格します。
世の中に出回っているの大体DCじゃないでしょうか。
ここがこのキットの一番厄介なところ。

というわけで、いつか作った電源回路のトランスからAC15vを引っ張ってきます。3v程度高いですが大丈夫でしょう!知らんけど。
ヒーター電圧が高くなるので、ちょっと寿命が短くなるかもしれません。
完成・音出し
いざ試聴。
高域と低域がほんのり柔らかくなり、これまで感じていた「無機質さ」が薄れたように思います。
音がほんのり丸くなった印象。
真空管らしい変化と言えるかもしれません。
ですが、劇的に変わるというほどでもありません。音ってそもそもそういうものなのか….
気になる程のノイズは無いです。そもそもパワーアンプ自体に若干ノイズがあるから分からん。
回路動作の考察


ただ、作っただけでは面白みがないので回路動作を考察してみようかと思います。
考察といっても、真空管の回路はデジタル回路に比べてシンプルなことが多いので単純なものになりそうです。
回路図は付属していませんが、基盤や構成パーツを見ると以下のような動作だと考えられます。
AC12v(15v)入力を基盤上で整流・分圧、両電源(±12×√2 v)を生成
NPN/PNPトランジスタを使った昇圧回路により±28v程度の電圧を生成
この電圧で真空管のプレート電圧にする。これで電位差56vとなる。
プレート電圧56vは真空管としてはかなり低めの電圧である。本来100v以上で動かした方が性能はでると思いますが、低電圧なりに工夫された設計と言えるでしょうか。
改良・コンデンサ交換で音質改善


標準のセラミックコンデンサや一般用電解コンデンサではやや心許ないと感じたので、以下のように改良しました。
セラミック→フィルムコンデンサへ全交換
電解コンデンサ→ニチコンのオーディオグレードへ全交換
結果として、「劇的な変化!」とはいきませんでしたが、音の粗さが少し取れて、より聴き疲れしない音になった印象です。中高域のザラつきが落ち着いた感じ。
総評
安価なキットながら、真空管らしい温かみと柔らかさをしっかり加えてくれる良い製品でした。
コンデンサ類にもう少し気を使えば、音質の底上げも可能。手軽に「真空管の味」を加えられる面白いキットです。
本格的な真空管回路にアップグレードするや、高電圧電源の自作にも挑戦してみたいと思います。
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